雪風

太平洋戦争時に実在した駆逐艦の名前です。この駆逐艦は誰もが知る「大和」や「武蔵」と違い、小型で小回りがきき機動力が高いため、先陣を切って敵襲や上陸の援護、物資の輸送、撃沈により海に投げ出された味方を救難するなどし、前線にいながらも必ず帰還するところから、「幸運艦」とも呼ばれていました。

主演の艦長役には竹野内 豊、先任伍長役に玉木宏。

劇中の艦長は、武士道精神を大切にしています。それは一般的に7つの徳「義・勇・仁・礼・誠・名誉・忠義」からなっています。

義:正しいこと、間違ったこと、悪いことを避け、自分の良心に従って正しい行いをすること

勇:何があっても動じない心や、困難に立ち向かう勇気

仁:他人への思いやり、慈愛、憐みの心のこと。弱き者を見捨てない優しさ

礼:他者への敬意や、他者の気持ちに寄り添う共感の精神

誠:真心と真実性、そして言ったことを成し遂げること(武士に二言なし)

名誉:自身の誇りや潔い態度

忠義:主君や祖先に対する忠誠心、他者への奉仕の精神

艦長はいつも折目正しく、まさに武士道を体現しているような人物で、竹野内さんの確かな演技力と存在感で演じ切っています。

対する玉木さん演じる先任伍長は、幸運艦に乗る者として下士官たちを鼓舞し、まとめ上げ、乗員一人ひとりを救助するために自ら行動を起こしていく。そうしたストイックな、正義の伍長を演じ切っていました。

今年は戦後80年の節目の年にあたり、今こそこのような戦艦が存在していたこと、前線で国を守ってくれた多くの方がいたこと、

けれども今も紛争地区があるということ、戦争や平和について、今一度立ち止まって考えなくてはいけない、という気づきを与えてくれる作品です。

また個人的に大好きな俳優、中井貴一さんは「連合艦隊」の少尉役で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞し、

この「雪風」では大日本帝国海軍・第二艦隊司令長官役を演じられ、舞台挨拶では「45年をかけて、司令官に上り詰めました(笑い)」といった話があり、「連合艦隊」も見なくては、と思っています。

中井貴一さんが出演されるだけでも、(長官役だからこそ)映画に一本筋が通るような、そんな気がします。

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