遥か未来、最終戦争後の地球を支配した「貴族」と呼ばれる吸血鬼は衰退期を迎えていたが、なおも人類に脅威を与えていた。
その貴族を狩ることを生業とするバンパイアハンターたちの中に、貴族と人間の混血児「ダンピール」として生まれた痩身の剣士”D”がいた。
ある夜、荘園主エルバーンの愛娘シャーロットが自宅から貴族に連れ去られる。エルバーンはDにシャーロットの奪還を依頼し、多額の報奨金を約束する。さらに凄腕のハンター集団として知られるマーカス兄妹にも同じ使命を与えていた。
Dとマーカス兄弟はシャーロットを連れ去った貴族マイエル=リンクの馬車を追跡するが、ふたりが禁断の恋に落ち、駆け落ちを図っていることを知る。マイエル=リンクはバルバロイの里の魔人(妖術師・ベンゲ、妖女・カロリーヌ、怪人・マシラ)を用心棒につけ、協力者である女貴族カーミラの住むチェイテ城を目指して逃避行を続ける。
マーカス兄弟の一員であるレイラはDを敵視していたが、たがいの窮地を助け合う中で心を通わせ、「どちらかが死んだら、もう一方が墓に花を手向ける」という約束を交わす。
追うものと追われるもの、双方の犠牲を経て、マイエル=リンクとシャーロットの馬車はチェイテ城に到着する。そこには古の時代の宇宙船が残されており、星々の果てにある「夜の都」へふたりを乗せて飛び立つ計画だった。
しかし、生娘の血を糧に肉体の再生を図るカーミラの裏切りにより、シャーロットは命を落とす。
城内でカーミラと対峙したDは霊力に気圧されたものの、己が身に潜む「吸血鬼王(バンパイア・キング)」の力を覚醒させ、カーミラを切り倒す。
そして、マイエル=リンクとの決闘に臨むも、敢えてとどめの一撃を止める。城の崩壊が始まる中、マイエル=リンクはシャーロットの亡骸を抱いて宇宙船に乗り込み、Dとレイラが見守る中、天空へと旅立っていった。
それから数十年後、老いて亡くなったレイラの葬儀が行われる日、Dはかわらぬ青年の姿のまま、約束通り墓地に現れる。レイラが親族に囲まれながら天に召される光景を見届けると、Dは花を手向けることなく、穏やかな面持ちで去っていった。
見どころ:映画の全編。
セル画で製作された最後のアニメと言われています。
オープニングの迫力から画面に釘付けとなり、Dの登場シーンに引き込まれ、マイエル=リンクとシャーロットの純愛、
マーカス兄弟の登場、他全てが見せ場になっています。
キャラクターデザインを天野喜孝氏が手がけ、
バンパイアと人間のハーフである「ダンピール」として、孤高の存在でもある「D」と、
人間を噛むことにひたすら抗い、愛に生きる貴族(吸血鬼)マイエル=リンクをとりわけ妖しく、美しく描いています。
物語は吸血鬼と人間、というだけのテーマにとどまりません。愛と憎しみはもちろんのこと、差別や偏見、裏切りと絆、etc…
全編とにかく美しく、細かく丁寧に書き込まれていて、見応えのあるシーンばかりの映画です。
先日リバイバル上映がなされ、間違いなく名作と言えるこの映画は、これからも語り継がれていくに違いありません。
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